オーストラリアでPCR検査を受けてみました

こんにちは。オーストラリアのゴールドコーストより犬飼です。

前回のブログではオーストラリアのコロナ対策などの第一弾を掲載しました。オーストラリアは相当早い段階から厳しい規制をし、コロナに関してはコントロールできていましたので、今頃には「コロナが終息した」という状況を想定していましたが、残念ながら、メルボルンやシドニーなどの都市部では、連日のようにクラスターが発生しています。ここ数週間で瞬く間に感染者が増え、日本同様、第二波の厳しい状況に置かれてしまいました。

メルボルンでは、先日よりレベル4の外出禁止令などが発令されましたが、これは、戦時下を除き初めてのことだそうです。

私の住むクイーンズランド州は、感染者がほぼ0から3人程度(帰国者など)で推移し、平和を保っておりますが、一度再開した州境は、事実上、再度閉鎖されることとなり、国から出られないのははもちろん、州をまたぐ移動さえ再び厳しい状況となりました。

ところで、国と国の対応や状況を比べるうえで、人口や医療体制が違うため一概に比較できないことはもちろんですが、とはいえ、日本とオーストラリアで最も違いが顕著に表れているのは、やはり「検査体制」ではないでしょうか。

発生当初より、オーストラリアでは「とにかく検査へ」というアナウンスが強く出ていました。週7日間朝から夜まで予約なしで検査を受けられる体制がいち早く整っており、国民や永住者は無料、私たち外国人は1回150ドル程度で受けることができました。その後、一時的に、コロナの感染者が落ち着き、検査の需要も減ってきたかと思われたタイミングで、メルボルンやシドニーでの感染拡大が起こり、再び緊張感に包まれた現在は、外国人も無料で受けられるようになっています。

「気分がすぐれないと思ったらすぐに検査へ」

これが現在の合言葉となっており、人口約511万人のクイーンズランド州だけでも最新の24時間で、1日当たり約1万8,000件の検査が行われています。

そして、先日、私と娘(13歳)に少し風邪症状が出たため、自宅から5分ほどの場所でPCR検査を受けてみました。もちろん、外国人である私たちも無料です。

まず、その日は、前日にブリスベンで帰国者以外の新規感染者(メルボルンからの帰州者)が久しぶりに発生したこともあり、朝10時の到着時点で、すでに2時間待ちの行列ができていました。

小さな子供連れの親子もいます。高齢者の姿もありました。

最初の2時間は、建物の外(駐車場内)に設置された特設テントの中でソーシャルディスタンスを保ちながら待ち、建物の中へ入ると、やっと20人分ほどの椅子があって座ることができました。室内はもわっとした空気が漂い、防護服に身を包んだ看護師が、一人ひとりの体温、血圧、脈拍、酸素濃度をチェックしながら問診をしていきます。

私たちは、鼻水や少しの咳という症状を伝えました。
また、2週間以内にホットスポット(クラスター発生地など)へ行っていないか、頭痛、発熱、下痢などの症状がないか、矢継ぎ早に質問をされ、この間約30分。

その後、検査室に入る前に検査結果は、陰性であればメッセージ、陽性であれば直接電話するとの説明があり、通常3日以内に連絡がいくとのこと。また、検査を受けた後は、結果が判明するまで、自主隔離をするように求められました。

最後に、防護服の医師が検査手順の説明をしてくれ、1つの綿棒で、左右の鼻を5秒ずつグリグリとこすられました。娘は痛がっていましたが、私は痛いよりもむず痒い状態で思わずくしゃみが出てしまいました。医師は反射的によけていましたが、窓もない個室でこのような検査を行っていることは、万が一陽性者がいた場合、医療関係者へ非常に感染のリスクが高いのではないかと少し不安を抱くとともに、あらためて医療従事者の皆さんに頭の下がる思いがしました。

さて、すべて終わって外に出てきたのは、並び始めてから約3時間。重傷者は最初から病院へ行って検査できるので、あくまでも軽症者や不安な人のための検査機関ではありますが、子ども連れや高齢者には負担が大きい状況だと思いました。

私たちの検査結果は、ちょうど24時間後にテキストで「陰性」との連絡を受け取りました。

検査はあくまでも検査であり、それ自体がコロナの予防につながるものではありませんが、国の方針としては、「とにかく早く1人でも多くの人を検査し、それによって無症状で無意識に感染拡大させてしまうことを防ぐ目的」があります。

「検査を受けられない体制」にこそ、感染拡大のリスクがあるという考え方です。

日豪の体制や考え方についての賛否はともかく、日本の状況もニュースなどで見ているだけに、両国の考え方の違いには驚くことが多く、私なりにも何が正解なのか考えさせられるきっかけとなっています。


  • 2020.08.07
  • Dr.DOGのオーストラリア留学報告