オーストラリアで経験したコロナウィルスパニック(1)

皆さん、こんにちは。ゴールドコーストより犬飼です。

世界的にコロナウイルスの猛威で未曽有の事態となってしまいました。せっかく海外にいるので、もっと早くこの情報についてオーストラリアの様子などをお知らせできればよかったのですが、オーストラリア、そして日本も徐々に規制が緩和され、少しずつ日常生活を取り戻してきた今ごろブログを更新することになってしまいました。

現在は、オーストラリア政府やクイーンズランド州が定めた3ステップの規制緩和手順のうち、ステップ2の実施中。来月のステップ3(ソーシャルディスタンスや、州・国境の行き来以外、ほぼ全てのことが以前の暮らしに戻る)への移行を目指しています。

■厳しい規制の始まり

オーストラリアは、日本にとっても人気の海外旅行先であり、特に日本の春休みにあたる3月は、留学生受け入れのピークです。しかし3月14日、オーストラリア政府によって「すべての渡航者は入国から14日間の自主隔離」との決定が出され、この時点で春休みの留学生などはキャンセルを余儀なくされました。※この時、日本はプリンセス号の対応で世界中の注目(非難)を浴びており、多くの日本人は海外のほうがまだ「日本にいるよりも安全」との雰囲気でした。

極めつけは、3月19日に突如発表された国境閉鎖。3月20日の午後9時から、オーストラリア政府は自国民と永住者をのぞくすべての渡航者を入国禁止としました。

これは、その後に各州が発表した「州境の閉鎖」を含めて、6月9日今日現在も続いており、いうまでもなく、観光業や留学生の受け入れが国の大きな基盤であるオーストラリアの経済に大打撃を与えています。また、日本の年度末とも重なり、大手企業や官庁の人事異動の時期でもあったために、多くの現地在住日系人や日本から新たに赴任予定だった人たちの生活を狂わせています。

たとえば、3月22日の飛行機でオーストラリアへ引っ越し予定だった人は、3月20日時点でそれまでの仕事をやめ、家を引き払い、あとは体一つで海を渡る予定だったものの、突然の入国禁止により、日本でも仕事や済む場所を失い、オーストラリアでの新たな仕事も失いかけている状況です。

こういった「人生を変えられてしまった人」は、大げさではなく、本当に多くいることを痛感しています。

■外国人として外国に住んでいるということに直面

このような誰もが予測しえなかった不測の事態、緊急事態の中で、国が全力を挙げて守るのは自国民であること。私たちは、外国人としてオーストラリアに住んでいた「一時的な滞在者」でした。確かにビザにもそう書いてあります。

しかし、この当たり前のことに直面し、非常に衝撃を受けたのも事実です。私たちのような永住権を持たない外国人生活者や留学生に、オーストラリア政府が最初にかけた言葉は「ここではあなたたちに何もしてあげられないから、可能な限り早く、自分の国へ帰りなさい」でした。

これは、悲しいけれど、国民を守るという姿勢を第一に示し、それを実行しようとした政府の動きを追う限り、初期の対応として、非常に適切だったと思っています。※その後、国内の政策がひと段落してから、外国人滞在者向けの支援も徐々に開始されています。

■自国民への規制と大規模な経済支援

オーストラリアの規制は3月中旬から内部でも非常に厳しくなりました。外出自粛にはじまり、生活必需品の店や医療関係以外、ほぼすべての施設の閉鎖、そして家族以外の人たちとの接触禁止など、警察や罰金制度も導入して相当厳しく行われました。

ルール違反には1000ドルの罰金も科せられ、法的に国民の行動を制御しました。

と同時に、かなり早い段階(3月下旬)に大規模な経済政策として、国民に対する支援が発表されました。特に国内外から評価が高かったのは、ジョブキーパーと言って仕事がなくなった人の生活や、雇い主を助ける制度で、単純に誰もが2週間当たり一律1500ドル(日本円で約12万円)、月額一律3000ドルの支給を最長半年間は受けられるというものです。

これは、同一職種に1年以上従事していた人など細かな規定はあったものの、正社員はもちろん、パート・カジュアルスタッフらにも適用されたため、ほとんどの国民は「無理に働かずとも給与(生活)が保障されているならば、国に従って家でおとなしく自粛生活をしよう」と、規制がうまく運んだ最大の理由であると言われています。

ちなみに、余談にはなりますが、この一律というのがみそで、それまでの給料が仮に2週間当たり1500ドル未満であった人でも、この期間は、1500ドルが支給されるため、かえって収入が増えた人がいるほどです。

■学校について

州ごとに多少の違いはあったものの、国の方針としては、原則として「学校には行かせるべき」「厳しい規制のもとで、学校は開けるべき」というスタンスで移行していました。

最終的には、オーストラリア国内の感染者数が一時的に増えたタイミングで、ターム2(4月からの2学期)は前半5週間をオンライン化することが決まり、結果、一部の学年を除く子どもたちは、今学期の前半をオンライン授業で過ごしました。もちろん、エッセンシャルワーカーと言われる必要な仕事についている人の子どもたちは通学が許可されていましたが、校内でオンラインを受けていました。

そして、5月最終週より、対面授業が再開し、今は子どもたちも元気に学校に通えています。
まだ、一部の習い事などは、20人以下などのルールにのっとって行われているか、当面中止となっています。

もともと、小学高学年からアイパットを使用し、宿題もオンラインで配信などのシステムが整っていたオーストラリアでは、オンライン化に伴っても大きな混乱はありませんでした。ただ、子どもが低学年であったり、兄弟の数が多い場合は、自宅の中で何人もが同時にパソコンやアイパットを利用してオンラインで授業を受けなければならなず、家庭内の混乱は(我が家も)ありました。

(2)に続く


  • 2020.06.09
  • Dr.DOGのオーストラリア留学報告